2006-11-12 フィクション Fiction

 
 
 
 
 
【 Fiction / ふぃくしょん】 
PARTYtripというグループのグループ展「フィクション」に出品した作品。
技術的な側面では前回のグループ展「9の扉」で使用した型による成形をより
発展させた作品で原型を作りそれを基に更に型を複数作り、量産性の実験という
側面を持つ。

テーマとしてはフィクション=想像、人が何かを想像するのに一番手っ取り早い
モチーフとしての人形を複数つくる事で、「人の間」関係性を想像するという事
を狙った。

当初の計画上では100体を目標として制作していたが、無理な姿勢での長時間作業が
たたって、制作半ばでギックリ腰に。何とか数日で立ち治るも展示当日には約60体
程度の部品が出来ている状態であった。
 そこで、毎日すこしづつ増えて行くという趣向で会期中毎日組み立て作業を行うという
なんとも印象深いグループ展ではあった。

接着には始めのうちは木工用ボンドを使用していたが、作業効率が悪く、途中からは
グルーガンで接着している。

型を複数と書いたが、確か4種類は作っている。目やら手の部分が空洞なのは
後期型。装飾的な意味よりも乾燥効率を追求した結果である。

型もパルプ製で、防水の為に食品トレイや、発泡スチロールをラッカーシンナーで
溶かして「再生スチロールニス」を用いて防水処理をしている。これを応用してこの
後の「つなぐのアイコン」では発泡スチロール、スタイロフォームで原型を作りそこ
にパルプを盛り、乾燥させた後にラッカーシンナーをしみ込ませて原型を溶かすと
いう「ロストワックス」的な技法につながる。



Blog SPACE9 inside
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2006-06-06「9の扉」9doors


【扉/とびら】
グループ展PARTYtrip「9の扉」展に出品した作品。
この回のグループ展のテーマは「扉」参加メンバーが9人なので
「9の扉」展となっている。

制作テーマ、技法も含め、この次の年、大学院の修了作品の
「つなぐのアイコン」の直系のプロトタイプ。油粘土で原型を作り、
パルプを盛って型をおこしたが、予想以上にパルプが粘土に食い
ついて剥がすのに手間取った。撥水加工に蝋を用いたが、期待した
ほど撥水性が得られずに作業が進まず、パーツを構成する個々の作品
の半数以上が、型を用いていないという散々な状態での出品となった。

自然由来の原料はその扱いも難しいというのが大きな教訓となった。
この失敗が「フィクション」では活かされていると今にしてみれば
思える。

作品のイメージとしてはそれこそ「つながる」という事を具現化した
「アイコン」となるわけであるが、この直後の時点では「アイコン」
という明確な言葉は出ていない。

電気という見えないものをつないでいって、その末端に輝く、目立つ
存在があって、人間ってのは個体では人間として完成しないという
イメージ。まあ、テーマとして「扉」が決まっていたというのもあるが
「つなぐのアイコン」には扉が無く、「扉」作品には扉があるというのば
当時の自分のメンタル面を反映している様な気がしないでもない。